HARIPICO-JOURNAL

「鍼灸師 生活できない」その不安が「現実」になる日の話をしよう。

「鍼灸師は貧乏」と決めつけるのはまだ早い。40年現役が真実を語ります。

鍼灸師は貧乏だ。 鍼灸師では生活できない。 でも、まだ若いから大丈夫。仲間もいるし、何とかなる。

今、深夜のベッドの中でスマホを眺めているあなたは、心のどこかでそう思っていないでしょうか。

国家試験会場の出口で、爽やかなスタッフに声をかけられ、キラキラしたパンフレットをもらった記憶。「うちに来れば楽しいよ」「一緒に夢を叶えよう」。 ホームページを見れば、同世代のスタッフが笑顔で働いていて、まるで終わらない学園祭のよう。素敵な出会いもあるかもしれない。

そのワクワクする気持ち、とてもよく分かります。 若いうちは、その「楽しさ」が世界の全てに見えるものです。

ですが、あなたが今、わざわざ「鍼灸師 生活できない」「鍼灸師 貧乏」と検索してこのブログにたどり着いたということは、心の奥底で気づいているはずです。「この楽しさは、見せかけではないか?」と。

私は長野で40年、この道を歩いてきました。 先輩として一つだけ、あなたが予感しているその不安の「正体」を伝えなければなりません。

「鍼灸師が食べていけない」のではありません。 あなたが今、足を踏み入れようとしているその場所こそが、あなたを「一生貧乏」にする入り口なのです。

これは説教ではありません。 ふと立ち止まった時に、あなたが道に迷わないための、小さな「地図」だと思って読んでみてください。

第一章:統計の罠。「整骨院」の崩壊と、「鍼灸院」急増のカラクリ

まず、あなたの予感が「気のせい」ではないことを証明するために、最新の業界データを見てみましょう。 厚生労働省が隔年で集計している「衛生行政報告例(令和6年末)」に、背筋が凍るような現実が記されています。

かつて、コンビニよりも多いと言われ、街中に溢れかえっていた「整骨院」の増加数は、2年前と比較して全国でわずか「8カ所」でした。 5万軒以上ある中で、たったの8軒です。成長は完全に止まりました。

その一方で、不気味な現象が起きています。 「鍼灸のみ」を行う施術所の数だけが、同じ期間に「1,604カ所」も急増しているのです。

「鍼灸の時代が来た!」 もし君がこの数字を見てそう思ったなら、それは大きな間違いです。 これは、業界全体が陥っている「巨大な地殻変動」と「逃避」の結果に過ぎないからです。

1. 安易なビジネスモデルの崩壊

実はこの統計には、もう一つ重要な数字があります。 それは、「あん摩マッサージ指圧施術所」が486カ所も減少し、8年前から減少が止まらないという事実です。

なぜマッサージ店が減ったのか? 理由は単純です。整骨院が「保険」を使って安くマッサージを提供し、彼らの仕事を奪ったからです。

しかし、その整骨院も今や「たった8軒」しか増えないオワコンと化しました。 国の指導により「保険という魔法のクーポン」が使えなくなった瞬間、安易なマッサージに依存していた整骨院のビジネスモデルも崩壊したのです。

そして現在は、生き残るための「自費移行」がブームになっていますが、「安さ」で集めた患者さんは、結局「安さ」を求めて移動していくだけです。

2. 一方で増え続ける「鍼灸院」の正体

では、なぜ鍼灸院が1,604軒も増えているのか。 それは、廃業した整骨院から放り出されたり、就職先を失ったりした鍼灸師たちが、「生き残るために、仕方なく開業している」からです。

整骨院のような大規模な設備投資ができない彼らが選んだのは、自宅の一室やマンションの一室で、ベッド一台あれば始められる「低コスト開業」でした。

しかし、看板を掲げただけで患者さんが来るほど、甘い世界ではありません。 念願の独立を果たしたはずなのに、仕事(患者さん)が全くない。 結局、彼らは「生活費を稼ぐために、こっそりと副業(アルバイト)を探している」のが現実です。

第二章:あなたが選ぼうとしているのは、どんな場所か?

少し、料理の世界で考えてみてください。

「グランメゾン(高級フレンチ)」と「ファミレス」。どちらが良い悪いの話ではありません。役割が違うだけです。

問題は、ファミレスの厨房で何年働いても、グランメゾンのシェフにはなれないという点です。

今、あなたが心を惹かれている職場では、本当に鍼灸の技術を磨いていますか?
それとも、マニュアル化されたマッサージや、回数券を売るためのトークが中心になっていませんか?

数年後、その職場を離れるとき、あなたの手元に何が残るでしょうか。
「楽しかった思い出」だけで、この先40年、プロとして生活していくことはできません。

第三章:グランメゾンのシェフは、「回数券」を売り込んだりしない

では、どうすればその「本物の技術」を身につけ、生活できない状況から脱却できるのでしょうか。

想像してみてください。 最高の食材と技術で料理を提供する一流のシェフが、お客様に「来月も来るなら安くしますよ」と必死にチケットを売り込む姿を・・・。 あり得ない話です!

しかし、今の治療業界はどうでしょうか? 「鍼灸」の看板を掲げながら、やっていることはマッサージや整体での集客。 そして、治療の最後には「回数券」を売るためのクロージング・トーク。

もし、あなたが今、そんな環境に身を置いているなら。 残酷なことを言いますが、「鍼灸師は生活できない」と嘆いている人たちと全く同じ道をたどり、その不安を自ら『現実』にしてしまうのです。

第四章:特に女性へ。「誰か」に人生を預けないために

「結婚できれば、仕事はそこそこでいい」
そう思う時期があっても、不思議ではありません。

ですが、人生は長いです。 いくらパートナーを愛していても、尽くしていても、自分自身に「稼ぐ力」がなければ、結局は「パートナーの所得を分けてもらう」という立場になります。

服を買うのも、美容院に行くのも、年老いた自分の親に仕送りをするのも、すべて「許可」が必要になる人生。 それは、対等な関係とは少し違います。

対等に、お互いを尊重し合って生きていくためには、誰にも奪われない技術を持つこと。そのための最強の武器こそが、「鍼灸師としての本物の技術」です。

誰にも奪われない、一生ものの技術さえあれば、あなたはどんな状況でも、自分の足で立ち続け、大切な人を支えることさえできるのです。

結論:まだ「選び直せる」という事実

鍼灸師でも、お金に困らず、豊かに暮らしている人はたくさんいます。
あなたが今、不安を感じている原因は、たった一つです。

それは、「ファミレスの厨房で技術を磨き、将来はオーナーシェフとしてグランメゾンを開こう」という構造の中に、知らず知らず身を置いてしまっていることです。

もちろん、世の中には「神の舌」を持った天才がいます。
どんな環境でも、自分の才能だけで一流の味を再現できる人もいるでしょう。

でも、私は「神の舌」を持たない凡人でした。だからこそ、マッサージや慰安に逃げず、鍼灸師が鍼灸治療で食べていくという、当たり前の道を選びました。

もし、鍼灸師は生活できないと思い込んでいるなら、私たちと一緒に、鍼灸師が鍼灸治療で活躍できる場所を作っていきませんか。


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